【大学教授経験談】その1:韓国で日本語教師になるための道。私がどうやって大学の日本人ネイティブ教授となっていったか。日本語学校、短期大学、4年制大学までのこと。

仕事・学び
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今私は韓国の4年制の大学で日本語教師として働いている。ここまでの道のりを整理したくこの記事を書くこととなった。

大学の先生になろうと思ったきっかけは、鷲田 小彌太氏の『大学教授になる方法』を読んだこと。研究をしたり、本を読んだりすることが好きだったこと、そして比較的休みが多く自分の時間が持てるかなと思ったとだったと思う。

ただ、海外に出て日本の文化と比較することとなり、海外から日本を見たときに、「日本」という国に関心を持ち始めたことが大きかった。それゆえに、日本を一度研究することはどうかと思い、日本語を教えながら、「日本」について研究していくということが大学の先生の道へと向かわせた。

とにかくどうしたら、韓国で日本語の先生になれるか。そして日本語学校から短大そして4年制の大学まで、その道のりを振り返りつつ、今後韓国に進出してみたい人の助けになれればと思って記事を書いてみた。

ちなみに私は日本語教師の資格がなく、それゆえに専門的ではないという意見もあるかもしれないが、なんとか試行錯誤しながらでも、日本語の講師や教授になれたことのノウハウだけはお届けできると思う。

1.4年生大学卒が大事

まずは韓国で日本語講師になろうとするならば、この4年制大学の卒業という卒業資格があることが有利であり、それが前提だ。特に私立の日本語学校(ハグォン)などでは、ビザの取得の関係もあるのか、4年制大学を卒業するということを、就職の資格条件として挙げている。では専攻はどうか。

大手などはやはり日本語教師の資格を持っていることを重視するところもあるが、専攻はあまり強調されない。

私は法学部出身ではあったが、外国語学部でも、国文学部でもなく、教育学部でもない私は不利かと思ったこともあったが、あまり関係ないように思った。周囲の日本語教師を見ても、色々な学部出身の人がいたからだ。芸術、建築、デザイン等など多様である。

面接と履歴書ですぐに結果がでるというイメージだ。ネイティブがいなくなると、すぐに補充しなければならないからか、ある程度信頼できればすぐ採用という形となる。

ただこれはネイティブに限ってのことで、韓国で韓国人が日本語教師に採用されるのは非常に狭き門だ。特に公立学校の教師などは、非常に倍率が高いそうだ。ネイティブは公立の学校ではそれほど需要はない。あっても時間講師ぐらいか放課後の指導ぐらいかもしれない。結局ネイティブは日本語学校に絞るべきだ。

ただ、今はオンラインや出講など、教える形態も変わりつつあり、ネイティブの採用がどれほど需要があるかはわからないのが現状だ。私が採用された当時(2000年ごろ)その時の状況とかなり変わってきている。オンライン化も進み状況は変わってきている。日本語学校も減っているようだ。

さらに最近は語学教師を派遣する派遣会社が増えたように思う。企業や個人レッスンに紹介してもらうタイプのものだ。これはビザは取れない。現地にすでに住んでいる人が優先となるだろう。

よってこのような派遣の場合はまずはビザ取得できる日本語学校か大学に就職するしかない。それをしながら出講で企業などに派遣されれば、生活費の足しになる。この派遣の日本語講師は今後需要は高まるとみている。

さて日本語学校のスケジュールは早朝の2~3コマほど。夕方と夜にかけての、4~5コマほどであった。昼は授業はないことがほとんどだった。だからこの時間に企業の出張講義とかを入れることができる。よって首都圏の日本語学校を探すことだ。そうるると交通の便もよく移動しやくすくなる。早朝と夜は日本語学校、昼は企業や個人の出講というスケジュールとなるだろう。

2.韓国で大学院に通う

日本で大学を卒業していれば次は大学院進学を考慮してみる。

学費のことが負担になるかもしれないが、韓国の大学は日本に比べればいろいろな奨学金制度が設けられている。それも返済しなくてもいいものがほとんどだ。私の場合も外国人ということで、50%の奨学金がでた。これには非常にありがたかった。

ちなみに韓国はだ学生にも国家の奨学金制度があり、返済しなくていいものだ。

大学院に通いつつ、日本語学校で働きながら通うことになる。朝は日本語学校で受講生に授業をし、午前、午後は空いているから、そのとき大学院の授業に出るか、それとも論文や宿題をするかとなる。夕方はまた出勤だ。よって、朝から晩までスケジュールが詰まっている。

非常にハードなように思えるが、朝早く起きるという規則正しい生活からか、そのときは何とか乗り切ることができた。また、大学院でより自分のスキルを高めるという目的があると、その目標に向けてがんばろうという力も湧いてくる。今考えるとあのときよく頑張れたと思えるが、やはり勉強や研究に「やりがい」を見出すと、意外と乗り越えられるものだ。

ただ外国の生活だから無理はできない。食事や運動、休息には十分配慮して、常にがんばるときと休むときのバランスよく生活することも大切だ。

次にどんな専攻を選択するかという問題がある。これには私も非常に悩んだ。今後韓国で日本語教師としてやっていくには、やはり日本語教育、教育学、言語学、韓国語あたりが無難だと思う。ただ私の場合は日本の文学を選んだ。それは歴史や古典が好きだということからだった。また、どうしても日本語専攻関連から外れないためにも、語学や教育ではないが、大学への就職を視野にいれて「日本文学を選んだ。日本語学や日本語教育は修士課程で授業はあるものの、やはり独学で身に着けていった。

周りの日本人で日本語教師を目指す人やすでに大学で勤務している先生の大学院の専攻は多様だ。建築、芸術、国際関係、歴史、経営など。ネイティブ教授として就職するには、あまり専攻は関係ないかもしれない。

ただ近年は採用する側はやはり資格所有者であり、日本語教育専攻という条件を掲げているところが多い。あるいは日本語学や言語学である。たまに日本文化や文学専攻の研究者を募集はしているが、それほど多くはない。やはり、教育関係を選ぶのが無難だと思う。

これも私の私見ではあるが、ネイティブ講師ということでとりあえず大学で日本語を教えて、いづれは他の専攻の分野に進むということになれば、日本語教育でなくてもいい。日本語教育ではなく、他の建築やデザイン、教育学を大学院で博士を取得し、その分野に進んでいる人もいた。これは将来的に日本語教師ではなく、韓国で就職することや、日本で就職するという点から考えると、自然とそのような選択になると思う。

よって、とりあえず、韓国の大学で経験はしたいが、将来的に何か目標があれば、それに見合った専攻を選択すべきだとうことだ。

結局は自分の好きで、将来の目標にあったものを選ぶことが最適であろう。やりたいことを優先して、そのうえで大学院の進学と専攻を決めるべきである。大学院の勉強もやる気がなければけっこうきつい。また韓国語ですべてをこなすにもかなりハードではある。

大学を選ぶ際は研究したい内容があって、そのうえで専攻、大学(首都圏がいいと思う)、そして指導教授を選んでいくという順序となるだろう。たしかに大学選びも大切だ。

3.短期大学に就職

大学院に在学し修士課程を終えたころに、短期大学(韓国では専門大学という)の募集が新聞にあるのを見た。それをみてすぐに願書を出してみた。するとすぐ面接となり、なんとその日に結果がでた。あっさりと大学への就職が決まってしまった。

よって、日本語学校はこの時点で辞めることとなった。日本語学校も意外と面白かったのであるが、やはり生活費や学費を稼ぐには、大学の給料の方がずっといい。そして手当もあり、社学年金という年金にも加入できる。(社学年金は10年以上勤めれば、定年後支給の条件となる。)

また、授業も一日だいたい4時間か5時間ほどで、一週間に一日は授業がない日もある。そして授業のほかは何か業務に追われることもなかった。淡々と授業をこなしていればいい。

空いている時間は自分の時間だ。というよりこのころは修士課程を終えて、博士課程に進んでいるがゆえに、博士論文を終えるために、学会での発表に追われていた。だから、大学の授業と同時に論文を仕上げるという生活となる。

私は授業と図書館との行き来で日々を過ごしていた。それ以外はすることと言えば、夏休みと冬休みに日本に行く。日本に行っても資料や関連書籍を購入するために歩きまわっていた。ただ、それでも研究しているという充実感はあったと思う。

4.韓国で大学院を修了する

仕事と大学院の両立は意外とうまくいった。

大学の仕事は授業がない日もある。また、夏休み冬休みがある。これらの時間を有効に使った。結局どんな仕事にもいえるが、仕事と勉強の両立は時間管理かもしれない。

また、やはり朝の時間だ。私はできるだけ朝の時間を有効に活用していた。もともと朝型だったこともあり、朝早く起きて、大学院の勉強と論文そして散歩をして、論文の構成やら内容を考えていた。

週末はほとんど図書館だ。図書館は近所の大学の図書館やソウルの有名大学の図書館に毎週のように通った。だから、図書館の係りの先生と知り合いになるほどでもあった。仕事以外は図書館にいたと思う。

最もたいへんだったのはやはり韓国にいるからか、資料をいかに収集するかであった。先行研究や書籍を手に入れること。そのためには、夏休み冬休みを利用して日本へ帰省。

日本の古本屋や図書館で複写サービスを利用する。

これだけ大学院の勉強に集中できたのも、やはり韓国の短期大学に就職できたらだと思う。韓国はあまり業務に縛られることはない。その当時はである。ただ最近は授業と同時に大学の業務もこなさなければならない現実がある。とても忙しくなったという印象だ。

5年を過ぎてより待遇のよい短期大学へと転職した。そこでは授業と同時に国際交流の業務があった。これは姉妹校の連絡や日本の姉妹校との交流、韓国の学生を日本に就職やインターンシップをさせるという役割だった。また、日本の留学生を大学に紹介し留学を斡旋する仕事でもあった。

かなりハードであったが、出張で日本に学校の費用で行けるとうメリットもあり、また自分の適性にあっていて、やりがいがあった。

大学院は修士、博士と含めて5年で修了した。つまり修士2年、博士3年である。修士論文は日本語、ただ博士論文は韓国語で書き何とか審査に通ることとなった。博士課程の期間は学会に年二回発表をしていた。

その時は仕事にそして勉強にという両立を乗り切ることができた。それもやはり大学に就職できたということが大きかったと思う。

大学で授業をしながら、研究をする。時間を管理さえできれば大学院を修了はできると思った。

その後は10年ほど短期大学で仕事をしていたが、やはり4年制の大学へのあこがれはあった。そしてその後、4年制の大学へとチャレンジすることとなった。

5.四年制大学への道

実はそのころ日本に帰国するかどうかを悩んでいた。それは日本の家族との約束や話しあいもあり、日本帰国を考えていた。そして、家族も大切ということで、とりあえず一時帰国をすることとなった。

日本である程度過ごすことも必要だと判断したという部分も大きい。日本での経験もしたかった。

1年ほど日本で家族の近くで過ごし、再度韓国へ渡った。韓国で新しく再就職をすることとなった。以前から目標にしていた4年制に願書を出す日々が続いた。実際にはすぐには上手くいくことはなかった。やはり年齢やら専攻などの問題もあったと思う。専攻が日本文学であったから、日本語教育という募集とは相いれなかったのであろう。

この間大学の時間講師や企業の出講をして生活した。

1年ほど就職活動し、2校合格面接そして合格することとなった。今は副教授という肩書で仕事をしている。以前の短期大学では講義専任教授というものだから すこしは昇進したといえる。ただ契約は1年ごとで再契約という形である。

やはりもし「教授」になるという目標があれば4年制で経験を積むことはいいと思った。ただ業務は結構多いと思う。時間も短期大学よりは自分の自由時間は少ない。

それでも金曜日は授業はなく、週末そして夏休み、冬休みの2か月の休みはある。

今後はどうするか。日本帰国も考えているが、1年1年を最善尽くすことにはしている。

これからも私の経験を記事にしながら、韓国で日本語教師を目指す人に情報を提供できればと思っている。韓国の日本語熱は日韓関係の政治的な影響もあるが、高等教育特に大学での日本語教育の需要はそれなりにある。しかし

韓国の若い学生にとっては日本語を専攻した後の就職にはメリットがなく、就職に有利な学科を選びつつ、日本語を勉強する学生も増えている。

そういう意味では今後の大学は教養で教えるというスタンスが増えるとみている。もう一つは韓国で日本文化を教える授業である。この二つは当分はなくならないと思っている。

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