小説「82年生まれ、キムジヨン」からみた韓国伝統価値観の崩壊

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 韓国の小説でベストセラーになっている 「82年生まれ、キムジヨン」 が映画化されることになりました。今までこれは女性の性差別を問題にしたものと言われ、日本では中々だれでも読めるようなこのたぐいの文学や小説がなかったことから、多くの読者を引きつけたものとみられます。もちろん、韓国の社会問題としてこの小説は性差別を反映しているといっていいでしょう。韓国はどこまでも家父長制をそのまま認めていることろがあります。

しかし、現在韓国のもう一つの深刻な問題として子供の数が急激に減っていることをあげる人は少ないのではないでしょうか。私はそちらを憂慮しています。つまり、若者が結婚に対しての希望がなく、結婚したとしても子供は産まないというケースが多くないってきているのです。そして、韓国の女性の社会進出に伴って、婚期を遅らせるか、逃す人も増えているのは実情です。

韓国では祝日に田舎に帰ったりすると、親戚に問い詰められることの一つに”嫁にはいつ行くのか。”という問い詰めがあります。これはとてもストレスでもあるのですが、それほどに結婚事態に否定的な考え方も蔓延しているように思います。

それゆえに婚期を逃すということもあるでしょうが、韓国の基盤である儒教的な家族意識が薄れてきているのではないかとみているのです。

1.小説「82年生まれ、キムジヨン」

これは主人公が1982年に生まれ、女性として生きていくうえでたくさんの理不尽や差別を受けたことを回想した内容となっています。ジヨンは娘をもち、IT企業に勤める夫と三人暮らしをしているという設定です。作家はチョ·ナムジュという彼女も1978年に生まれた元々放送作家です。韓国では社会運動のMetoo運動とともに性差別やセクハラなどの問題を糾弾していた時期でもありました。また、芸能人や歌手がこの本を読み、そのレビューが広まり、読者が増えていったといわれます。

2.韓国社会のフェミニズム

韓国では以上のように女性がとても苦労する。生まれてから、学生そして社会人さらに家庭を持って親になってからも一生その女性の性差別に苦しむというのです。韓国の男性中心社会が韓国の歴史を貫いています。それが、現代にまで引きずっているというのです。

たしかに、私がみるかぎり、韓国の男性は強い存在です。そして、家庭では絶対的な権威をもっています。日本の男性とはかなり違うように思います。家父長的な地域や考えかたをもっている人もいますが、日本はそれでも男女はともにそして平等であるという意識はもっているのではないでしょうか。

しかし、それと同時に韓国女性はバイタリティーもあるのです。子供を育てる力、夫への尊敬心(私の夫が最高であるとうい自負心)、そして社会に出て活躍していこうという自信などが、私が見る限りエネルギーにあふれているのです。とても女々しいとかもののあわれ的な日本的女性美はありません。自らの望みや言いたいことをはっきり主張し、生き方に信念があります。それは、大学生から大人までその精神は変わらないでしょう。

3.深刻な少子化

では何が問題なのでしょうか。冒頭でも述べましたが、ここに韓国の伝統的な基盤である、儒教的な考え方の崩壊があるのではないでしょうか。つまり、これは思想という以前に、”家庭”に対する希望や”家庭”に対する価値観の崩壊と見ています。

韓国はそれでも以前は「家庭」が治まれば社会や国が治まる(家和萬事成)とうい言葉があったように、何よりも家庭の秩序が大事で、その役割つまり、父、母、夫、妻という立ち位置を考えそれに責任を貫くことを優先していたように思います。また、結婚も家庭や家族のためといった個人的な次元ではなく、より公的な意識で結婚に望んでいたのです。

韓国伝統の結婚式

今は家庭や結婚より、いかに高学歴を身に着け、社会で安定した地位をえられるかに焦点がしぼられています。そこで、それに障害となるのが、この結婚や子育てというものなのです。

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