ポンジュノ(봉준호、奉俊昊、Bong Joon-Ho)アカデミー賞受賞監督。その人格とチョンソンヨン(作家)夫人の内助の功。

史蹟・歴史
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「パラサイト半地下の家族」韓国では「寄生虫」という題で知られています。2月10日ロスアンジェルスのドルビーシアターで92回アカデミー賞受賞式が行われました。ポンジュノ監督は脚本賞、監督賞、作品賞と4冠に輝きました。

まさに快挙としかいいようがありません。

韓国映画が世界を激震させたといってもいいでしょう。

その張本人ポンジュノ監督とはどんな人なのでしょう。

私は作品よりもそちらに関心をもちました。

その人の印象とは。

とても素朴で、人情的で、謙遜な人なのです。

しかもこれは失礼かもしれないのですが、韓国の街でよくみかける普通の韓国人といった感じで親近感ももつのでした。

1.ポンジュノ監督とは

ポン監督は1969年、慶尚道のテグ(韓国では3番目くらいに多いな都市)で生まれました。テグの男性は強いと言われますし、サムソン会社の職員が多いことでも知られています。

サムソンの本社に行くと、慶尚道の方言やイントネーションを使う人が多いですね。

彼のお父さんは、グラフィックデザイナーでテグカトリック大学の先生。幼いころ、お父さんの部屋にある外国書籍のデザイン本をよく見たということです。

ポン監督は場面を一つ一つ詳細にスケッチを描いていきます。

これらはその当時培ったものなのでしょうか。

光の当たり具合や人の角度まで精密な描写をするということです。

彼は、たくさんの映画に魅了され、脚本家の道を目指すのですが、家庭の反対もあって、韓国の私立の名門延世大学の社会学部に進みます。そのかたわら、映画のクラブに入って、脚本を書いていきます。

今の奥さんであるチョンソンヨンさんとはそのクラブで出会った人で、書いた脚本を一番最初に見せていたそうです。

脚本を見せるのはとても緊張したということです。

1995年に結婚し、その後は、とても生活難に苦しんだそうです。

友達がコメを持ってきてくれるほどだったのです。

2003年に「殺人の追憶」2006年に「グエムル漢江の怪物」などをヒットさせて、「パラサイト」で大ヒットとなったわけです。

2.アカデミー賞受賞での謙遜さと連帯感

アカデミー賞を見てて感動したのは、決して奢らない姿勢でした。監督の普段のそのままの振舞いで授賞式で受賞され、コメントをしているところ。

さらに、感動させたのが、彼が幼いころマーティン・スコセッシの映画を見て感銘を受け自らの映画を作ってきましたと、自らの栄光を他の人に捧げようとしたのです。

私が学生時代マーティン・スコセッシの映画をみて勉強したのですが、そのような人と一緒に候補に選ばれることだけでも光栄で、賞をもらうことなんて考えてもいませんでした。

ポンジュノ

そのとき会場は拍手の渦となりました。

もちろん マーティン・スコセッシ にも拍手喝采でしたが、私はそのポン監督のさりげない謙虚な姿勢に心から拍手を送りました。

さらに、目を引いたのは、主演ソンガンホ氏をはじめ、俳優やスタッフと一体となっている姿です。

監督一人に注目が集まるのでなく、常に監督は俳優とスタッフのことをたたえ、俳優は監督をたたえ合っている姿でした。

これが、韓国の強みであり、韓国映画がここまで上り詰めた原動力だったのではないかと思うほどです。

彼はいいます。

最高の財産は俳優とスタッフではないか

ポンジュノ

と。

監督の度量、そして栄光を人に分け与える姿に名実ともに世界の監督となった瞬間でした。

3.成功の陰に夫人の内助の功あり

さらに、最近のインタビューで生活苦を思い出しながら、かれはこういいます。

98年にとてもたいへんな状況で、妻にもうあと一年くれ。もうあと一年あれば何とか耐えることができそうだ。そのとき妻がこう言いました。”食べれなくてもいいよ”といってくれた妻に感謝しています。

ポンジュノ

妻チョンソンヨンの内助に感謝する、今の彼を作ってくれたのは妻だといっているのです。

一人での成功はありえません。やはり、パートナーの協力は無視できないでしょう。

さらに、常に妻がインスピレーションをくれたともいいました。

ここに監督の成功の要素が隠れていたんですね。

4.芸術家の見本

彼の仕事に対する姿勢はとにかく、何でもまずは始動する、チャレンジする、はじめてみることです。

彼の映画は常に新しい技法に挑戦していくものです。

芸術家でなくても、ビジネス、研究あらゆる世界に通じるものは、”チャレンジ精神”でしょう。

やってみないことには、何も始まらないし、変わらないのです。

彼はそれを証明してみせました。

彼が幼いとき机の前に貼っていたことばです。

一番個人的なことが、一番創意的なことだ。

脚本を作っているときは孤独な闘いだったそうです。しかし、そのことがあったがゆえに、こうした作品を生み出していったのでしょう。

どんな人も一度は孤独になることでしか、成長できないのかもしれません。

5.韓国文化を垣間見る

ポンジュノ監督の受賞を通して、明らかになった韓国文化をまとめると。

1)謙遜さ

2)チャレンジ精神

3)内助の功

4)連帯感

といったところでしょうか。

ポジュの監督は韓国の誇りであり、アジアの誇りです。

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